さて前回記事で土地先行物件のメリット、デメリットを解説させて頂きました。
正直言いまして多少消去法的ではあったのですが、それ以上の条件の物件が中々見つからなかった事もあり、あんまり焦って変な物件を掴むよりは多少時間かかっても、ある程度堅い物件を掴むためにも土地先行物件を中心に探していくのも悪くないな、と方向性をある程度固め始めました。
続々と紹介受けながら1つずつ物件の収支シュミレーション等を進めていき、投資に値する物件の精査を日々行っていました。
良さげな土地先行物件①
そんな中で下記の様な物件が出てまいりました。
物件価格:9,800万円の新築アパート
立地:東京メトロ東西線 南行徳駅 徒歩10分
土地面積:115㎡(角地)
住居面積:185㎡(20㎡の1K×9部屋)の3階建て木造アパート
利回り:8%
早速土地値から見て行ってみましょう。
路線価:27万円/㎡程度 → 土地の想定実勢価格:5,500~6,000万円前後(売値の55~60%程度)
ん~~、角地だし新築であれば6割程度土地値が出ているのは悪くないな
と考え、何より魅力だったのは利回り8%という昨今ではちょっとお目にかかれない収益性です。
南行徳駅は乗降者数で5万人弱はある駅ですし、千葉県アドレスとはいえ、ほぼ東京みたいな立地、特に大手町駅界隈までは20分くらいでアクセス出来るので単身社会人層の需要がきっとあるはず。
正直設定されていた家賃が少々強気ではあったのですが、その分を適正に引き直しても7.5%程度の利回りは十分見込めそうな物件に見えました。
という事でこの物件に関しては本気で検討を進めたのですが、流石にこの条件の物件ですと土地先行物件とはいえ、結構早いうちに買付が他から入ってしまい、慎重になり過ぎた私はチャンスを逸する事になってしまいました。
良さげな土地先行物件②
さてお次は良さげなRC物件が再び出てきました。
物件価格:2億円程度の新築RCマンション
立地:都営新宿線 大島駅 徒歩12分
土地面積:125㎡(角地)
住居面積:300㎡(20∼21㎡程度の1K×14部屋)の5階建てRCマンション
利回り:7%
お馴染みの土地値から見て行ってみましょう。
路線価:34万円/㎡程度 → 土地の想定実勢価格:7,500~8,000万円前後(売値の35~40%程度)
RCですしそれなりに上物が大きく部屋数があるので土地値がそこまで出ないのは致し方ありません。
しかも東京23区更には18区内(都内でも資産価値が更に高いエリア)に該当する江東区アドレスです。
ただ少々想定家賃が強気だったので正しく引き直すと利回りは6~6.5%程度に落ち着く可能性がありました。更に前回の王子神谷の物件と同様にどうしても引っ掛かったのは5階建て物件である事です。
こちらの物件は駅からも12分と少し離れていますし、更にエレベータ無し5階建てだったので、客付け大丈夫かな~。。。と心配になってしまいました。
ちなみに大島駅は乗降者数が2.7万人/日程度ですので決して大きな駅ではありません。そこが決め手に欠ける点でした。
一応近隣エリアの不動産屋に聞き取りもしたのですが
あ~、大島駅付近は単身者用のアパート、マンションは結構飽和状態でね~、客付けも苦労するよ!
え、そうなんですか、ちなみにこれくらいの家賃設定で考えているんですがどうでしょう?
ん~、そのくらいだとちょっと割高かもしれないね~、新築時は良いけどどんどん新しいマンション、アパートも建ってるから、供給過多で先々は苦労するかもね~
こんな感じで結構ネガティブな事を2~3社の不動産屋から言われてしまった事もあり、ちょっとビビッてしまい、(金額も2億越えでしたし、、)この物件は見送る事にしました。
全然見つからんな~、、、、と思いつつも、
やはり減点部分ばかり気にしてしまうと中々踏み出せないという事が徐々に分かってきたので、これ以降は最悪のケースを想定した場合に耐えうるのか?という視点で考えてみる事にしました。
とうとう決めた1億の投資
そしてとうとう私にもXデーが訪れる事となります。
これまで不動産物件を探し始めて既に半年以上、、、いい物件があっても決断力不足やスピード不足で買えず、を繰り返していた私は次こそは、、、とチャンスを伺っていました。
そんな時に出てきた物件はこちらでした。(土地先行物件です)
物件価格:1億円程度の新築木造マンション
立地:東武東上線上板橋駅 徒歩10分程度
土地面積:150㎡(角地)
住居面積:190㎡(20∼21㎡程度の1K×9部屋)の3階建て木造マンション
利回り:7.5%
融資条件:1%台半ば、期間30年、9割融資
お、、、、、悪く無さそうやな、、、、しかし徒歩10分か、、、しかも東武東上線て、、どんな線だ?
ちなみに上板橋駅は乗降者数5万人弱程度の駅でして、池袋まで電車で約10~15分前後の立地です。しかも2023年3月から準急停車駅になったことから、準急であれば池袋まで7分です。
更に駅前の再開発が決まっており2028年完成予定なので駅前は更に活気づく可能性や地価の上昇等も見込める可能性があるかな、とポジティブな要因もありました。
、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、
うーん、、、
指値が通ったら、購入しようと決めました。
当然決めるにあたっては詳細の収支シュミレーション、様々なタイミングでの出口戦略等をかなり綿密に試算し、想定し得る最悪のケースにおいても自己破産には陥らない様な物件であると判断出来たからです。
ちなみにこの土地の路線価は25万/㎡程度で角地でしたので、想定の土地実勢値は6,000∼6,500万円程度は堅そうだな、と試算しました。
また固定資産税評価額から計算する想定の土地実勢値との乖離率も2~3%程度であり、土地の資産価値としては新築物件で6割以上見込めたので及第点としました。
※固定資産税評価額との乖離計算に関しては↓の記事ご参照ください。
当然近隣の不動産屋にも5件ほどヒアリングを実施しました。(うち1件との会話↓、かなりはしょってますがこんな感じです)
もしもし、今度このエリアで賃貸物件の運営を開始しようと考えているあるリーマンと申します。このエリアで駅徒歩10分、20㎡の1Kの木造アパートで、家賃は○○円くらいを想定してます。いかがだと思われますでしょうか?
あー、はいはい、なるほど、ん~そのくらいの条件であれば客付け出来ると思いますよ、特に新築時はそこまで苦労せず。
ただ築年数経ってくると多少値下げしたりフリーレントやADも必要になるかもですね~
あ、なるほど~、勿論その辺の家賃下落とかAD、諸費用のコストも見積もってます。分かりました、ご意見有難うございます。 管理の方もお願いするかもしれませんので、よろしくお願いします。
相当はしょってますが(実際はもっと細かく聞いてます)、こんな後押しも受けられました。
5社くらい電話した内1社はポジティブな反応、1社は中立寄り、3社はネガティブな意見、という感じでした。
上記の情報を統合して考えたり、HOME’SやSUUMOの類似物件の情報を探してみたうえで、現在の家賃想定は少し強気だな、と感じましたので家賃を相場程度に引き直して利回りが維持出来るレベルでの指値を入れて買付を出しました。
私以外にももう1名買付を入れていた投資家がいたのですが、その方は融資が付くか微妙だったのか、若しくは私より大きな指値を入れていたのか分かりませんが、無事に私の買い付けが通り事になりました。
正直小さい指値では無かったので、半分諦めていたのですが通ってしまって、やべっとうとう買う事になってしまった、という何とも言えない複雑な感情になったのは覚えています。笑
指値を入れる際はこのようにしっかり金額の根拠を示せると相手の不快感も減りますし、しっかりと考えている人だ、と多少は一目置かれるので、感覚的にでは無くしっかりとロジックを準備するようにしましょう。
しかし買付が通ってしまったのですから、腹を括るしかありません。
とうとう私は1億近い借金を背負いながら不動産物件のオーナーとなる道に1歩踏み出す事になったのです。
そこからは慣れない売買契約の締結や事前準備に精を出すこととなり、忙しい日々を送る事になりました。
まず不動産屋との売買契約時に手付金(300万円程度)を用意する必要があります。
ちなみにこの物件の場合は不動産屋は売主になっていたので、所謂仲介手数料(物件金額の3%+6万円)は発生しませんでしたので、大分初期費用を抑える事が出来ました。
※1億の物件なので仲介の場合は約300万円の仲介手数料を払う必要が出てきます。
こんな感じで早速金策に走る事になった私ですがここから想定通りに事が進まない土地先行物件のリスクをまざまざと感じさせられることとなります。。。
次回以降の記事で実際に行った詳細な収支シュミレーション、その後の展開等を順を追って紹介していこうと思います。
~まだまだ続く~