サラリーマンの不動産投資、選ぶべき物件∼土地以外の条件~

不動産を査定しているイメージ 不動産

前回の記事で、まず重視すべきは価値が減っていかない土地の価値をしっかりと確認してから、その他の条件を詰めていきましょう、と解説しました。

ここを意識するだけでサラリーマン投資家、特に初心者が陥りやすい、利回り至上主義から脱却してちょっと俯瞰して冷静に不動産の価値を見極められる様になるはずです。

幾つか興味を持った物件の土地値を計算していくと段々土地の広さ、立地、形状、道路付けといった条件を見るだけで検討する価値があるかどうか一目で分かる様になってきます。

ではここからは土地値がちゃんと出ている、悪くない物件を見つけられた前提で他の条件についても見ていきます。

区分か一棟か

これは可能なら1棟を選ぶべきです。何故なら土地がちゃんと付いてくるから。

区分だと例えば25㎡の1Kとかの部屋だと一応25㎡の土地の持ち分はあるものの、マンションは所有者の8割以上の同意が無いと建替え出来ませんし、25㎡分だけ売る事も出来ないので実質土地は全く自由に処理出来ません。

一方で1棟ものは土地込みの物件ですので、最悪更地にして土地として売却する、といった選択肢も取れますし、土地の価値は減りませんので、資産価値が遥かに高いです。

他にも1棟だと収益が安定し易いとか、清掃、原状回復、リフォーム等を実施する際に管理効率が良いとかいろいろメリットありますが、土地が手に入る、という要素が最も大事だと思っています。

立地

土地値と密接に関わってくる部分でもありますが、第一候補は勿論東京で、理想は18区内(東京23区から足立、北、板橋、江戸川、葛西区を除いた)、その後23区かその近郊エリア、西東京側であれば主要駅(立川、町田、八王子等)かその近郊になります。

神奈川、埼玉、千葉であれば東京近郊エリアか、主要ターミナル駅周りのみを対象にすべきで、最低でも国道16号線の内側のエリアを選択すべきです。

ただ当然良いエリアになればなるほど利回りがドンドン下がります。キャッシュフローが出る事が絶対条件なので、結局ある程度の立地で条件に合う物件を探す事になります。(18区で条件に合う物件が初心者投資家に回ってくる事はほぼあり得ないと思った方が良いです)

物件の買い増しをしていく前提で、段階出来な土地のエリアの選別方法に関してはこちらの書籍が非常に参考になります。

都市型不動産投資戦略

また、単身物件かファミリー物件かでも立地の選別は分かれます

単身物件の場合
基本は駅から離れ過ぎれば過ぎる程厳しくなります。理想は徒歩7~8分以内で遠くても10分前後くらいでしょうか。
駅前等にある程度食事できる場所、娯楽等がある駅が理想ですので、乗降者数は2.5~3万人以上は欲しいです。そのくらいの規模感の駅であればそれなりに駅前は充実してます。
複数路線の乗り入れがある駅の方が良いですが、そういった駅が必然的に土地が高く利回りが下がりやすいのでそこから数駅離れた駅でも問題ありません。
大きなターミナル駅に1本で行ける場所であるとなお良しです。

ファミリー物件の場合
基本間取りが40∼50㎡以上の2LDK等規模が大きくなるので駅チカだとかなり家賃が高くなる事もあり、駅から離れていてもそこまで問題ありません。
徒歩15分以上かかる場合等は駐車場付きである事が必要になります。
学校、病院、公園、スーパーへのアクセス、治安など交通の便よりも住環境がより重視されます。 

構造

不動産物件の構造は大きく、木造(22年)、軽量鉄骨(19年)、重量鉄骨(34年)、RC(47年)に分かれます。カッコ内の数字は耐用年数です。

様々な書籍で絶対的にお勧めされているのは「中古のRC物件」です。更にエレベータ等が付いていない小ぶりで3~4階建てで10世帯前後で1億~2億くらいで購入できる物件です。

エレベータはメンテナンス費用が嵩むうえに解体の際にかなり処理費用が発生するので可能な限り下げるべき、とされています。

ただ実際探してみると分かります、、、そんないい条件のRC物件等殆どありません。

あっても築40~50年とか、利回りが4%台だったりとか、、、土地が異常に狭い(50㎡とか)ので縦長に建っている物件とか、、、

まぁみんな狙っているんでいい物件が初心者に回ってこないのは当たり前です。そのことを踏まえると私は良質なRC物件をいきなり狙うのはやめた方が良いと思っています。

RCは固定資産税も高いですし、利回りも低めなのでキャッシュフローが出づらいです。また築年数が経っている物件だと解体する際のコストもかなりかかるので、ちょっと初心者には荷が思いのでは無いかなと。

現実的に初心者サラリーマン投資家は築浅にしろ、築古にしろ、ちゃんとキャッシュフローと土地値が出ている、木造物件が一番なんじゃないかなぁと思います。(どちらかというと消去法的にですが。笑)

築年数

これも一概には言えないのですが、まず勝手に定義しますと、

  • 木造築浅:~築15年目くらいまでとします。
  • 木造築古:築15年目以降
  • RC築浅:~築20-25年目くらいまでとします。
  • RC築古:築25年目以降

甲乙をあえてつけるのであればこんな感じでしょうか?

RC築浅 > 木造築浅 > 木造築古  RC築古(但し年数や立地による)

ただ初心者のサラリーマン投資家は基本は木造築浅で探すべきです。RC築浅が見つかれば勿論良いのですが、立地が悪い、利回りが引く、といった問題が必ずあるはずです。

そうなると必然的に木造築浅です。それでもいい物件を見つけるのは非常に難しいです。

築15年目以内だと場合によっては5~10年保有すると耐用年数切れになりますが、ちゃんと既に書いた土地の条件を満たしていたり、満室経営がしっかりできていれば、買い手はいます。勿論そのまま持ち続けてしっかりインカムゲインを獲得していく事でもいいです。

土地の評価がしっかり出るエリアであれば土地の価値分と収益還元の評価で、耐用年数切れでも融資が出る金融機関はありますし、ノンバンク系であれば1棟目のサラリーマンには融資が出ます。

木造築古になっていくと、土地値=買値くらいの物件や土地値>買値くらいの物件を探す意識を強めていく方が良いです。

例えば築30年くらいの築古木造を購入すると、出口戦略として解体・更地化して売却や建直し等の選択肢も入ってきます。

その場合、解体費用や場合によっては住人の立退き費用等で数百万∼1,000万円くらい(規模による)追加の費用が発生する事もあります。

よって古ければ古いほど、土地値が大きくなる様な物件を選ばなければいけません。

利回り

殆どの不動産投資に興味を持つサラリーマン投資家の皆さんは年収で500~1,000万円前後の方々がボリュームゾーンと思います。(私もそうです)

そんな方々は毎月の持ち出しが出ると運営していく事が厳しいですし、絶対にキャッシュフローが黒字になる物件を探さなければいけません。

その為には絶対に利回りは最低でも6.5%以上、出来れば7%以上の物件でないと厳しいです。

例えば下記条件で収支シュミレーションしてみます。

木造1棟アパート、3階建て
東京23区の北側、駅から徒歩10分
築年数:5年
全9部屋、20㎡程度の1K
物件価格1億円
利回り:6.5%
家賃/部屋:6万程度
融資条件:90%融資、期間30年、金利2%

こちらの年間キャッシュフローを計算するとこんな感じ。カッコ内の%は仮の数字ですが、私は50物件以上は細かいシュミレーション計算してきましたので、大きくは外れていないと思います。笑

家賃収入(満室時)650万円
空室率(7%)-45万円
管理費 (家賃の5%)-33万円
火災・地震保険
※5年1活払いの1年分
-12万円
固都税 (4%)-26万円
その他経費-50万円程度
返済(利子含む)-410万円程度
年間キャッシュフロー75~80万円

※その他経費=定期清掃、修繕用の積立、設備交換・修理、原状回復費用のみなし積立、共用部電気代等

どうでしょうか?思ったより少なくないですか?ここから税金を払わなければいけません。

実際はその他経費はその年には発生しない将来的な経費を均して積み立てているモノも含まれているので、単年で見るともっとキャッシュフローが残る場合もあります。

ただ単年で切り取った収支を見てもあまり意味は無いので、ちゃんと中長期で発生する費用を入れ込んで計算すべきです。

上記の費用は築∼10年目くらいまでのイメージですが、築年数が経てば大規模な修繕も必要になりますし、10年目以降~、20年目以降~ではもっと見込みの金額を増やすべきです。

更に空室率がもっと高いパターンも試算してみるべきですし、築年数が経つと家賃がもっと下がっていきます。(その分固都税がもう少し安くなったりはしますが)

これが利回り6%とかになると殆どキャッシュフローが出なくなります。

よって木造なら絶対に表面利回り6.5%はマスト、出来れば7%は無いと中々厳しいです。

かなり立地が良くて土地値も出ている様な資産価値が非常に高い物件であればギリギリ6%なら許容できる、、、くらいでしょうか。

絶対的な条件出しは出来ない

ここまで書いて来た要因は互いに絡み合ってますし、エリアやその他条件によっても微妙に変わってくるので一概には言えませんし、全部の条件が合致する物件は(素人サラリーマン投資家には)絶対に見つかりません。

私も物件探索当初は、よし絶対に妥協しないで見つけたるわ!とイキがってましたが、夢ははかなくも破れました。笑

なのでどこまでのリスクなら許容できるか?という点をしっかり考え、妥協点を見つけて進むしか無いのです。

特に土地値の部分に関してはここを大きく間違わなければ割高なボッタくり物件を掴まされる可能性はかなり減りますので、是非意識してみてください。

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