村上ファンドから学ぶ投資哲学

株式市場で活躍するアクティビストのイメージ お勧め書籍

今の30代~40代の方で投資に少しでも興味のお持ちの方であれば一度は聞いた事あるかと思います、「村上ファンド」ですが、2006年頃のニッポン放送の株式取得、株主提案で世間を騒がせました。

結局インサイダー取引ってことで逮捕されちゃったので、世間のイメージはイマイチ良くないですよね。(実際私もそうでしたが、、、)

が、、、実際はめちゃくちゃ時代の先駆け的な事をしておりました。

今でこそアクティビスといった言葉がメディアでも盛んに使われる様になり、積極的に株主提案を行いながら、ぬるま湯に浸かる旧時代的日本の上場企業の経営姿勢や株価対策に対して一石を投じる救世主的な存在として認知される様になってきました。

2024年6月に実施された各企業の株主総会でも45社が株主提案を受け、過去最高とのことでニュースでも報道されています。

アクティビスト投資家、日本企業への提案が過去最高

有名ファインド/アクティビストが保有する銘柄の株価はドンドン上昇していく傾向が各地で見られる様に株式投資を行う以上、現代では非常に重要な存在になっています。

そんなアクティビストがまだまだ「乗っ取り屋」と揶揄され批判されていた2000年代初頭、批判を真向に受けながらも強い信念と使命感を持ち活動を続けてきた方こそが村上ファンド創設者の村上世彰さんでした。

そんな村上さんの半生を綴った書籍をご紹介します、株式投資を実際に行われている方は勿論興味のある方、今後始めたいと思っている方々は必読の1冊と思います。

実は私もこの本を最初に読んだのは2018年頃でした、単純に「村上ファンド」=悪どい方法で株で儲けていたヒール、みたいな印象を持っていたので、軽い興味からニッポン放送事件等はどんな背景だったのかな~とか思いながら流し読みしただけでした。

実際その頃は株式投資や財務諸表に関しての勉強もそこまでしておらず、本を読んだ後も「ふ~ん」くらいにしか思わずに逮捕された投資家が自己弁護の為に書いた本くらいにしか思っていなかったのですが、、、

その後個別株投資にのめり込み、ある程度株式市場の事を勉強したり、それなりの金額を投資するようになり、財務諸表の読み方などもある程度分かってきてから、再度(Kindleから)引っ張り出して読んでみると、、、、

驚くわたし
驚くわたし

なんじゃこの本は、、、村上世彰ってとんでもないお人やんけ、、、、

と素直に思ってしまいました。今から20年以上前からこんな事を考えて行動に移していた人がいたなんて、、、と衝撃を受けました。

いや、ほんとは最初に読んだときに衝撃を受けなきゃいけないわけなんですけど、、、その時は衝撃を受け取れる程の器すら持ち合わせていなかった様です。

ちなみにこの本を読んで村上さんみたいになりたいとか、そんな大層な野心が生まれたとかでは全くありません。てかお家柄、頭の出来、資金力、人脈、、、どれを取っても真似など出来るはずもありません。笑

単純にこの本を読みなおしてアクティビストが狙うような企業に投資すべきなんだな、と改めて気づかされたんですね。

サラリーマン投資家であっても、個人投資家であっても、ファンドマネージャーであっても株式投資を行う最大の目的はただ1つ、利益を得る事でしょう。

株式投資で大きな利益を得る為には現在の株価とその企業の持つ本来の価値の乖離が大きければ大きいほど、いいわけです。

市場がその歪みに気づいたと時にその企業の株が買われていき、適正な評価まで株価が上昇するという流れです。時に適正な評価以上に上昇する事も頻繁に起こります(=バブル状態)。

アクティブストたちも正にこの歪みが出来るだけ大きな企業を見つけ、実際に、無視できないレベルまで株式を買い集め(時には筆頭株主になる事も)、その歪みが是正される様な提案をドンドン行っていく事で株価を引き上げて最終的には頃合いを見て売却し、売却益を得る事を目的に活動を行っているわけですね。

今となっては日本でも当たり前となったこうした株主提案を20年前から行ってきたのが村上世彰さんだったわけです。そんな方の半生が描かれた書籍です、株式投資の世界に身を置く方であれば読むしか無いでしょう!笑

細かい内容は是非中身を読んでもらえればと思いますが、印象に残ったエピソードを少しだけご紹介します。

幼少時代

こんな事考えて行動出来る人ってどんな子供時代過ごしてるんだろ、、って気になったら正に正直外れ!

お父さんも有名な投資家な様で、お小遣いの代わりに株を積立してくれたり、村上氏が小学生3年生の時には100万円を手渡され本格的に投資を始めたそうです。

自分が3年生の時って何してたかなーとか思い出すと落差で笑えてきますが、それくらい投資が生活の中で当たり前の環境で育ってきた、という事みたいですね。

投資哲学は全てお父さんから学んだ、と書籍内にも書いてある通り、正に文字通り最高のお手本の背中を見ながら育っていったというんですから、モノが違うのも納得してしまいました。

ただ意外にも東大を卒業後はお父さんの助言により官僚(通産省)で働き始めて国家について、上場企業について深く学んでいったようです。

ちなみに村上氏は投資家の素質とは三割はDNA的に引継ぎ、7割は経験、と語っております。。。。先天的な素質、、、結構大きいな。笑

村上ファンドの創設、ニッポン放送事件

そしてこれまた意外にも20年近く官僚として働いた後、40歳(1999年)に㈱M&Aコンサルティング(後の村上ファンド)を立上げます。

当時は村上氏とオリックスとの共同出資という形で立ち上げたようで、オリックス会長の宮内氏と深い親交を持たれていたとのこと。 

しかし登場人物が小泉総理やら、どこぞの会社の会長やら社長やらで選ばれた人間の世界というものをいやと言うほど見せつけられ、完全に違う世界の人間で、嫉妬すらも湧きません。

ファンド立上げ後は昭栄や東京スタイルといった企業へのTOBや株主提案を行うシーンが生々しく描かれており小説さながらの世界です。(池井戸作品みたい)

そしてとうとう、かの有名なニッポン放送への投資、そこに至った背景等の詳細が描かれており、掛値無しの舞台の本当の裏側をしっかりと理解出来ます。

詳細は割愛しますが、当時のニッポン放送、フジテレビの資本関係、時価総額、等のバランスには本当に大きな歪みが存在し、コープレートガバナンスが一切機能していない状態でした。

そこに同じ様に目を付けた当時のホリエモン率いるライブドアも登場し、何だかベジータの初登場時を見た様な感覚になりました。

ベジータの初登場シーン

結局ホリエモンは逮捕され、村上氏もインサイダーで実刑を食らったわけで、その事実ばかりが異様にクローズアップされてしまった感はありましたが、、、、それだけで済ませてはいけない世界が当時はあったんだな、と。。。

新興系IT企業の勃興期のエピソード

村上氏自身は書籍内でも、ITバブルだった2000年初頭の当時は自身はITの事はよく分からないし未来予想図も描けないので、とIT系企業への投資に消極的だった、と語っています。

ただ今や日本を代表するIT系企業(GMO、楽天、サイバーエージェントなど)もこの時期にドンドン生まれており、その成長や市場形成に村上氏も少なからず影響を与えていた様子が描かれています。

特にサイバーエージェントには実際にかなりの投資を行っていたようで、創業者の藤田さんとの交流のエピソード等は面白いです。

あの舞台の裏側でこんな事があったんだな~と当時は勿論知る由もありませんが、時代を超えて一部でも垣間見る事が出来るのは素晴らしい事ですね。

とまぁ、昨今は東証からのPBR改善要請や海外・国内のアクティビストの積極的な株主提案等もあり日系平均も4万円前後まで上昇してきています。

この今の状況の礎を敷いたのは間違いなく村上氏の功績だと思いますし、是非その世界観の一部を覗いてみて欲しいと思います。一味違った視点で投資先企業を見れる様になるかもしれません。

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